撮影期間一年(正味の話。)
第二回作品『大阪トルク』の撮影がようやく完了しました。最初の撮影は2019年の10月でしたので、ほぼ一年を費やしたことになります。ここまで長引いた理由は複数ありますが、一つは撮影自体が隔週だったことと、二つは今年三月辺りからのコロナ禍によってしばらく様子見の状態が続いたことがあります。ともあれ、主演のお二方、安藤鈴菜さんと鈴木優理奈さんは大変お疲れ様でした。
『真夜中の配達アプリ』の撮了後、技術クルーのレベル上げが急務となる中、長期的視野に立って地域の映画制作スキルの底上げを図ろうと映画塾を創設。その練習制作という性格を合わせた形で『大阪トルク』の撮影はスタートしました。脚本は台詞無の2ページです。ジャンルとしては振り分けが微妙ですが、時間と空間が混乱した物語映画であり、視覚言語と聴覚言語を用いていかにストーリーを伝えるかを考え、実践するものです。
残り少ない線香花火。駒子と舞子の手。落ちる光の玉。暗闇。
松村穂高
光と影と音で紡ぐ物語。
撮影の基本といえばまずは露出、ホワイトバランス、そしてフォーカスです。このフォーカスは被写界深度を含み、撮影担当者にはこの三つをまず徹底して計画し、実践するように促しています。撮影に慣れてくれば次は照明を用い始め、最初は一灯、そしてキーとフィル、バックライトの使用、光の質の調整、さらには環境光と照明のバランスなど、複合的な技術を要するショットにも挑戦しました。屋内や森の中での撮影はすべて照明で光を当てています。内複数のショットではリフレーミングやパン・チルトなど、基本的なカメラワークを採用。手持ちでのトラッキングも試みました。内数ショットでは撮影時に視覚的テクスチャを施しています。以下はテストグレーディング(色調整)時のフレーム抜粋です。
いろいろなことが変わった一年。
撮影期間が一年、というのは参加者全員にとって初めての経験でした。一年も経てば様々なことが変わっています。メンバーも少なからず入れ変わったり、ある人は結婚して子供ができたり、ある人は転職したり、大学を卒業したりしました。その一方で、最初はできなかったある程度難しいショットもだんだんとこなれてきたり、時には堅実な基礎と創造的なアイデアが合わさった見事なショットも生まれたりしました。映画の会の基本理念に掲げるエンターテイメント性をはじめとする四柱の実現に向けて、今後も映画の会一同精進していきます。